くも膜下出血専門の情報サイト。 くも膜下出血の基礎知識から、予防治療策まで役立つ情報が満載♪

深呼吸ダイエット

 くも膜下出血とは

くも膜下出血とは、脳出血と同様、脳の血管の異常によって起こる出血性脳神経障害のひとつです。ちなみに脳梗塞や一過性脳虚血発作は、出血性ではなく閉塞性脳血管障害といわれています。
脳の動脈が破れ、くも膜と軟膜の間のくも膜下腔という隙間に出血した状態がくも膜下出血で、突然死につながることが多く、約20%の人は数時間以内に死亡するといわれます。
脳梗塞などが高齢者に多発するのに比べ、くも膜下出血は40代から60代の発症も稀ではなく、患者数が少ないにもかかわらず死亡率が高いことが特徴です。そして、脳卒中による死亡者全体に占める割合は年々上昇しています。



 くも膜下出血の原因

くも膜下出血は、原因や発症の部位などにより、いくつかの種類に分けられます。

最も多いケースが「脳動脈瘤破裂」で、くも膜下出血の90%近くを占めます。
脳の動脈壁に血流による負荷がかかり続けると、動脈壁の弱いところがコブのように膨らんで動脈瘤ができます。さらに圧力がかかると動脈瘤が破裂し、出血がくも膜下腔に広がります。脳動脈瘤破裂型のくも膜下出血を発症する人の多くは40~60代といわれています。

次いで多く見られるのが、脳動静脈奇形の破裂によって起こる「脳動静脈奇形破裂」で、くも膜下出血の約5~10%といわれています。
脳動静脈奇形とは、脳の動脈と静脈をつなぐ異常な血管の塊で、弾力性の弱い静脈に動脈側の強い圧力がかかるため、静脈壁や異常血管が破裂して出血しやすくなります。先天的なもので、20~40代の比較的若い人に発症するのが特徴です。

一方、高血圧になると、血流による強い圧力が脳内の細い動脈壁にかかり続けるために、血管壁が弾力性を失ってもろくなり出血しやすくなります。これを「高血圧性脳内出血」
といい、出血がくも膜下腔に及ぶものはくも膜下出血として扱われます。
「高血圧性脳内出血」は、くも膜下出血の原因全体の10%程度を占めます。 

その他、脳腫瘍、もやもや病、脊髄の動静脈の奇形などによっても、くも膜下出血が起こることがあります。

くも膜下出血の9割近くは、脳動脈瘤の破裂によって起こります。脳動脈瘤ができる原因はわかっていませんが、高血圧症、喫煙、遺伝の関与などが指摘されています。
なんらかの原因で弱くなった動脈の壁に拍動が絶えまなく伝わることで、徐々に膨らんで瘤になると考えられています。また、その動脈瘤が破れる原因もわかっていません。

ただしタバコについては、タバコを吸う人は吸わない人に比べて、男性で3.6倍、女性で2.7倍も、くも膜下出血を起こしやすいことが厚生労働省研究班大規模疫学調査で報告されています。



 くも膜下出血の症状

くも膜下出血の主な症状は、割れるような激しい頭痛、意識障害、嘔吐などです。
軽い頭痛の場合もありますし、卒倒することもあります。

「後頭部をバットで殴られたような激しい頭痛」は、前兆もなく突然起こるのですが、これはくも膜下腔の出血が原因で、頭蓋内の圧力が高くなる頭蓋内圧亢進症状や髄膜が刺激されるために起こる髄膜刺激症状によって強烈な激痛が生じます。

また、嘔吐や意識障害も特徴で、脳動脈瘤が破裂すると、半数は意識障害を起こすといわれています。一旦止まった動脈瘤からの出血も再出血をおこすことが多く、その再出血が致命的となることは少なくありません。

くも膜下出血を発症してから時間がたつと、首筋がこわばって痛み、前屈できなくなるといった症状も現れてきます。

一方、頭蓋内圧が高まって眼底に出血が起こると、視力が低下することもあります。目の障害は発症直後にみられるケースが多いようですが、眼底出血の程度が重いほど生命に危険が及ぶ確立が高くなります。

また、くも膜下出血によって脳脊髄液の流れが悪くなると、水頭症という状態になることもあります。徐々に進行する痴呆、歩行障害、失禁が特徴的な症状です。
高血圧などが原因で脳の動脈が破れ、脳内に出血すると、脳の働きに支障をきたすこともあります。手足の麻痺、感覚の低下、ろれつが回らなかったり言葉が出てこないといった言語障害など、さまざまな脳症状があらわれます。
さらに、治療経過中には、肝、腎、呼吸器、循環器、胃腸など、全身の合併症によって状態が悪くなることもあります。



 くも膜下出血の合併症

くも膜下出血には、「再出血」「脳血管攣縮」「水頭症」という3つの大きな合併症があります。

「再出血」とは、脳の動脈のコブが2度以上破裂して出血することです。脳動脈瘤が2度3度と何度も破れると、脳のダメージは大きくなり致命的になります。
この再出血を予防する方法には、全身麻酔、頭蓋骨のフタをドリルで開け(開頭術)、顕微鏡を使って瘤の周囲を剥離して、クリップで瘤をつまむ「クリッピング」と、、大腿の付け根からカテーテルで瘤の中に非常に細いコイルと呼ばれる金属の糸を数本入れて、コイルで瘤の中を充満させ、瘤の中に血液が流れないようにする「コイリング」という方法があります。

「脳血管攣縮」はくも膜下出血の発症した数日後より生じる現象で、脳動脈瘤が破裂して血管の内側から外へ出た血液が血管壁を外側から刺激し、血管が細くなるという症状です。
血管が細くなると脳血流が悪くなり、脳梗塞が起こります。
脳血管攣縮が発生すると、くも膜下出血の手術が成功してご飯を食べていた患者さんが、発症1週間ほどで突然運動麻痺となり、不幸な転帰となる場合が多いようです。

脳の表面・谷間・隙間には血液と共に循環する髄液がまんべんなく循環していますが、くも膜下出血により髄液の循環が滞ると、脳室に髄液が過剰に貯まり、脳室が拡大して「水頭症」になります。
この水頭症はくも膜下出血の発症間もない時期に生じる急性水頭症と、発症約1ヶ月後の慢性期におこる慢性水頭症(正常圧水頭症)があります。
急性の場合は頭蓋内圧亢進を招き、生命の危険を伴います。通常、緊急的に脳室ドレナージと呼ばれる髄液を脳の外へ排出させる手術を行います。
一方の慢性水頭症では、痴呆、尿失禁、歩行障害などの症状が現れます。拡大した脳室から髄液をお腹に逃がすための脳室腹腔短絡術、VPシャントといった手術を行って治療します。



 くも膜下出血の予防

くも膜下出血を予防する唯一の方法は、原因の大半を占めるといわれる脳動脈瘤を破裂前に診断し、適切に治療することです。

脳動脈瘤の診断には、M脳血管撮影(MRA)が用いられます。破裂前の無症状の脳動脈瘤の予防や治療に、脳ドックは高い効果を上げています。検診により症状が現れる前の病変を発見できれば、そのまま予防的に治療することも可能なので、脳の病気の早期発見・早期治療ができます。

MRAで脳動脈瘤が疑われた場合や、実際にくも膜下出血を発症した場合は、カテーテルを用いた脳血管撮影やCTを用いた三次元血管撮影など、造影剤を使用して動脈瘤の精密検査を行ないます。CTやMRIで脳に異常がないと言われてた場合でも、通常の断層撮影で脳動脈瘤は診断できないため注意が必要です。

くも膜下出血は突然死の危険性が高い病気ですが、脳ドックの普及が進めば、死亡率の減少が期待されます。

さらに一歩進めて、脳動脈瘤ができないような予防法を考えてみましょう。
脳動脈瘤は先天的なものに加え、高血圧や動脈硬化などが加わって発生すると考えられています。そこで予防策として、次の10項目を心がける必要があります。
1.高血圧にならない、あるいは改善する。
2.高脂血症にならない、あるいは改善する。
3.喫煙をしない。
4.血液の粘度をサラサラに保つ。
5.肥満にならない、あるいは改善する。
6.過度の飲酒をしない。
7.適度な運動を心がける。
8.ストレスを溜めない。
9.睡眠を充分とる。
10.少食に努める。

以上は他の生活習慣病の予防にも有効であり、くも膜下出血になる確率もそれなりに下がると思われます。



 くも膜下出血の治療

くも膜下出血では、最初に出血が起こってからの数時間の対応によって、回復の程度が左右されます。最初の発作から24時間以内(ほとんどの場合は6時間以内)に再出血することが多く、2度3度と出血を繰り返すたびに重症化して死亡率も高くなるため、激しい頭痛や嘔吐などくも膜下出血と思われる症状が現れたら、一刻も早く脳神経外科の診察を受けることが大切です。発作による出血量が少ないと、意識障害を起こしても、しばらくすると回復することがありますが、その場合にも決して放置しないことです。強い頭痛が何日も続いたり、首筋がこわばってくるケースも、くも膜下出血の可能性が高いので、すぐ受診することが必要です。

くも膜下出血が起きた直後から2週間くらいまでを、急性期とよびます。
この時期の治療の基本は、脳神経外科で行われる手術療法です。瞳孔が開いていたり、呼吸が不規則あるいは弱いといった重症ケースや、手術の難しい部位が出血しているケース、手術を行っても重い後遺症が残ると予想される場合には、手術によらない薬物療法と絶対安静の状態にして脳圧降下剤などを使用するといった保存的療法が選択されます。
その後、症状の経過観察中に状態が改善し、手術が行えるようになるケースもあります。

なお、「再出血」「脳血管攣縮」「脳水頭症」といったくも膜下出血の合併症の治療については、【くも膜下出血の合併症】を参照してください。